
論文集
心理臨床家は色々な理想像を投影されることが多く、例えば、全く精錬潔癖である
とか、精神的にとても健康であるとか、何事にも動じないとか、ストレスを持って
ないとか、高い人格的素養があるとかetcと挙げれば切がない。
しかし、実際の心理臨床家は素朴な等身大の人間であり、他の人よりも抜きん出
て高尚であることも、全く低俗でもない(中にはそういう人もいるかもしれないが
)。であるから、心理臨床家も色々なストレスや悩みを抱えており、それが臨床場
面に影響したり、日常生活がおかしくなってしまったりも稀ではない。
今までそういうことが否認されてきていたが、最近になって心理臨床家がどのよ
うに精神的な健康を維持するのかを考えていくことはとても重要なこととして認識
されるようになってきたように思う。
本書ではそれらについて様々な観点から、様々な論者が論考している。
中でも乾の論文は大変興味深く、心理臨床家が自分自身について、スーパーヴィ
ジョンや教育分析などを通して、どこまで客観的に見ることができるのか、といっ
たことを考えさせられるものである。また、これらのSVや教育分析は自分自身を客
観的にみるだけでなく、情緒的なソーシャルサポートとして、心理臨床家自身が支
えてもらっているという感覚を持つことの大切さも痛感するものである。
心理臨床家自身が不安定だと、その不安定さが患者に伝わり、良い援助はできな
いと...